
EV(電気自動車)市場の急拡大により、2018年に見られた MLCC(積層セラミックコンデンサ)不足の再来 を懸念する声が強まっています。
当時、多くの基板メーカーや家電メーカーが納期1年以上という異常事態に直面し、生産計画が大きく乱れました。
2025年現在、再び同様の兆候が現れ始めており、その背景には EV の普及と電子部品の“高密度化シフト”があります。
この記事では、村田製作所をはじめとする主要メーカーの動向から、再びMLCC不足が起こりうるかを読み解きます。
車1台に1万個?EVシフトがもたらす影響
ガソリン車では約 2,000〜3,000 個の MLCC が搭載されると言われています。
しかし EV では、その数が 1万個を超える ケースも珍しくありません。理由は以下の通りです。
- バッテリー管理システム(BMS)の高電圧化で多数の高耐圧MLCCが必要
- インバータ、オンボードチャージャー、DCDC など電力変換回路が増える
- センサー、制御用ECUの増加
- モーター駆動系でノイズ吸収・フィルタリング用 MLCC が大量に必要
この結果、EVメーカーは従来の車載向け専用ラインだけでは賄えず、汎用品ラインまで大量に引き抜き つつあります。
特に村田製作所、三星電機(Samsung Electro-Mechanics)、太陽誘電など大手メーカーは「車載グレード MLCC を優先する」方針を強めており、一般家電・産業用途の MLCCが後回しになる傾向が顕著です。
2018年不足の原因も“スマホと車載の争奪戦”でしたが、今回は EV が爆発的に増えたため、さらに供給逼迫の度合いが強い と予想されます。
サイズダウン(小型化)の波
もう一つの大きな要因が MLCCの小型化トレンド です。
メーカーは今後の生産を「0402」「0201」といった微細品に集中させる方針を明確に示しています。
一方、産業機器や古い設計では「2012」(2.0×1.2mm)、「1608」(1.6×0.8mm)といった古いサイズが今なお多用されています。
しかし現実にはこれらの旧サイズは、
- 車載向け需要が小さい
- 新規設備投資が小型に偏る
- 部材コスト・歩留まりで不利
といった理由で 徐々に生産縮小 が進んでいます。
その結果、設計者が旧サイズの MLCC を使い続けると、
- 「在庫限り」
- 「納期未定」
- 「代替品なし」
といった状況に陥る可能性が高まります。
特に産業機器は10年以上使われるため、今から変更の余地を残しておくことが非常に重要です。
まとめ:旧サイズを使っている設計者は早めの設計変更が必要
EVシフトと小型化の流れが重なり、MLCC不足の再来は十分に起こり得る状況です。
特に旧サイズMLCCを使っている基板は、将来的に調達が難しくなる可能性が高いため、設計段階でのサイズ見直し が強く推奨されます。
MLCCは基板に大量に使われる部品だからこそ、入手性が悪化すると製品全体の生産が止まります。
早めの対策が、設計リスクを大幅に下げる鍵となるでしょう。