
電子機器の設計で最も避けたいのは、設計が完成した後になって「その部品、もう買えません」という最悪の事態です。
2020年代の半導体不足を経験した今、BOM(部品表)のリスク管理はエンジニアの必須スキルと言えます。
本記事では、調達リスクを下げるための実践的なBOM管理術を紹介します。
セカンドソース(代替品)を最初から決めておく
半導体は“1社独占”が多く、ピン互換の他社品が存在しないケースも少なくありません。
しかし、可能な限り 複数メーカーの代替品(セカンドソース)をBOM段階でリスト化しておく ことが、リスク低減の第一歩です。
●なぜセカンドソースが重要か?
- 供給停止(EOL)になっても即座に切り替え可能
- メーカーの不具合・災害などによる供給断の回避
- 価格交渉力の向上
- 商社が在庫を確保しやすくなる
特に MCU(マイコン)やパワーICは1メーカー依存になりがちですが、
- 同ピン互換
- 同レギュレータ互換
- 同ロジックファミリ互換
などの候補を洗い出しておくと安全です。
EOL情報の早期キャッチアップ
メーカーは製品の販売終了を行う際、PCN(製品変更通知) や LTB(Last Time Buy:最終購入案内) を発行します。
これを見逃さないための仕組み作りが重要です。
●情報を逃さない方法
- メーカーのメール通知に必ず登録
- 商社・代理店からのアラートサービスを活用
- Octopart、SiliconExpert などの部品情報サービスをチェック
- BOM監視ツールを導入(中小企業でも利用可能な安価プランが増加)
特にマイコンや電源ICは 10〜15 年で世代交代が訪れるため、定期的に “BOM棚卸し” を行い、候補の部品がいつまで供給されるかを確認することが大切です。
まとめ:調達力こそが、これからのエンジニアの最強のスキルになる
機能が優れていても、部品が買えなければ製品は作れません。
逆に、部品が確実に手に入る設計を行うエンジニアは、どんな現場でも高い評価を得られます。
- セカンドソースを最初から入れておく
- EOL情報を常にウォッチする
- 部品在庫が枯渇しないBOM構成を設計する
これらは“追加作業”ではなく、現代の設計における 基本戦略 です。
調達の不確実性が高い今こそ、エンジニアには「設計力」だけでなく「調達力」という新たな武器が求められています。